【週末自動車評論家】S-エネチャージはF1のパワーユニットと同じ仕組み
若いころに散財して色々な自動車に乗ったので、それなりに違いが分かる「自称週末自動車評論家」、tony togoです。
この度、我が家の軽自動車MRワゴンを点検に出しました。
スズキのお店は代車を貸してくれるのですが、それがいつも新車下ろしたてなので軽自動車の進化を体験できる良い機会になるのです。
前回(6月)は、なんか背が高いヤツ(車名失念)で「アイドリングストップ」をじっくり体験致しました。
確か13キロから積極的にエンジンを止めるってので燃費には効くのでしょうが、普通に赤信号でブレーキを掛けて、最後にブレーキをすっと弱めるとアイドリングストップしないという挙動でした。
つまり、カックンブレーキ気味に雑に止まらないと燃費の恩恵に与れないというものでした。まだまだ未完成という感じでした。
その他に「エネチャージ&エコクール」という仕組みがありまして、ブレーキの回生で発電、アイドリングストップ時の補機類への電力供給を行うとともにクーラーもアイスノン的なものを仕込んで冷えるようになってるというものであります。
夏場だったので、エネチャージ&エコクールは確実に体感できました。
ターボエンジン車で、60キロ位走って平均燃費が20キロ弱。
我が家のターボなし、エコ系ハイテク一切無しのMRワゴンとほぼ同じ燃費でした。
さて、今回の代車はスズキの基幹車種であるワゴンR。いかつい方の顔です。
ターボかノンターボか分かりませんが、乗った感じはターボ無しっぽいパワー感でした。
今回のワゴンRは、「S-エネチャージ」というパワーユニットになっております。
今までも電力回生でバッテリーに電力を貯めていたのですが、その電力を補機類だけじゃなくって、「スターターモーターを回してやればいいんじゃね?」って発想で実質ハイブリッド化。デカイバッテリーも、デカイモーターも不要で燃費を下支えするというスマートな発想であります。
実はこれ、2014年からのF1のパワーユニットの「運動エネルギー回生システム(MGU-K)」と全く同じ考え方であります。
Honda | F1 | 革新技術への挑戦「F1パワーユニットを知る」- パワーユニットとは
乗ってみた感じはどうかといいますと、意識しなければアシストされていることに全く気づきません。
微妙な上り坂などで右足の親指にちょっと力を込めるくらいの踏み足しで即座にアシストが介入している事実はメーターパネルの表示で分かります。
我が家のMRワゴンは、こんな時にトルクが不足して車速が伸びないか、キックダウンしてしまうかという挙動ですが、S-エネチャージ搭載車はそのままするっと加速します。
アシストが入ったタイミングは分かりませんでしたが、アシストが切れた瞬間は、トルクが途切れるのでほんの少し分かります。
また、燃費計を注意深くチェックしていると、アシストが入った場合は瞬間燃費もさほど悪化していないようです。
今年発売になったばかりのシステムですが、完成度が高く実用性能も充分。
走行距離が20キロ弱、エンジンが温まる頃には目的地という条件で24キロ/リットル。
我が家のMRワゴンの2割増し。いいですね~。
S-エネチャージが今後どういう方向性に進化するかを勝手に妄想してみましょう。
まずは、アシストを増やす方向性。
現状はゼロ発進でのアシストをしていません。恐らくアシストするスターターモーターが小さいからだと思いますが、もうちょっとパワフルにすれば今すぐにでもできちゃいますね。
ゼロ発進が一番燃費に悪いですから、そこを手当することで更に実用燃費がアップするはずです。
そして、F1のパワーユニットに習うのであれば「熱エネルギー回生システム(MGU-H)」の導入でしょうか?
軽自動車のターボは世界的なトレンドである小排気量ターボの先鞭とも言える存在ですので、これもすぐにでもできそうであります。
つまり、軽自動車って皆さんバカにしてますけれど、エコ性能追求の努力は恐らく世界一ではないかと。なにせ新型が出る度に燃費表示がガンガン改善されてますからね。どこまでも追求していけば100キロ/リットルも夢ではないかも知れません。
さらに、S-エネチャージの効能がアイドリングストップの挙動にも現れていました。
アイドリングストップからの再始動がドエライ静かです。
代車にはオーディオが付いていなかったので無音で走ってたのですが、再始動音は聞こえますがはるか先で鳴ってる程度。
しかも、アイドリングストップ動作もとても自然に洗練されていました。
普通に赤信号で止まると違和感なくアイドリングストップ。もうカックンブレーキは必要ないのです!
軽自動車も年々進歩しておりますな。
来年6月の車検の時の代車はどんな進化したクルマに乗れるのか?とても楽しみであります。