自己満足な広告が何故生まれてしまうのか?
先週くらいから地下鉄の通路に貼りだされていたポスターです。
洗剤のアリエールの広告。
「ついに妻がサジを投げた。」というコピーが殺人的にイケてません。
なぜか?
洗剤の性能に不満を感じることなんて、通常あまり無いからであります。
洗剤の性能ってなんでしょうか?
真っ先に浮かぶものは「洗浄力」であります。
それから、イマドキでは「香り」などの付加価値があるかも知れません。
しかしながら、買う買わないを一番左右しているのは「価格」であります。
コンジョイント分析などで購入動機を分析したわけじゃないですが、売り場を見れば、価格が最大のトリガーであることは容易に推測できます。
つまりはこういうこと。
消費者の本音は、「価格」>「性能」、しかも性能の差は体感しずらい。
つまり、妻(消費者)がサジを投げたくなる状況ってのは発生しないのです。だから、リアリティが全くない。
これじゃあクリエイター(笑)のオナ~ニーだよ!
恐らく、テキトーなクリエイティブディレクター(笑)やらコピーライター(笑)が「粉末洗剤との差別化じゃね?」ってな感じでノリで作り上げたものでしょう。
少なくとも考えた奴らは、洗剤の決定権者じゃないし、普段使う人でも無いと思うんです。
ちょっと待ってください。
メーカー担当者もバカじゃないからそんなコピー止めるでっしょ?って思いますよね。
ところがどっこい、メーカーの方ってのは「粉末洗剤との差別化」を目的に働いてらっしゃる。
消費者がしたいことと、メーカーが伝えたい(押し付けたい?)ことの乖離があるわけです。
消費者は洗濯目的に洗剤を買うのであって、粉末や液体やジェルボールとの差別化のために買うわけではない。
そんな単純な事実も、企業活動の中ではいつの間にか忘れ去られてしまうのです。
他にもこのコピーは、第三者(たぶん夫)からの目線で、本来ターゲット(たぶん妻)の感情ではないという致命的なボタンの掛け違いがあるんです。
色々と不幸なマリアージュが、こういったクソ広告になって表れるのであります。