【温故知新】実践でなく、実戦というタイトルに意味があるのではと深読み
PCをネットに繋げることがパソコン通信と言われてた頃。
昭和61年発行の「実戦!パソコン通信」。ゲームセンターあらしで知られるすがやみつる氏による名著であります。
昭和のマイコン少年必読であります、マジで感動しましたので皆様にも是非お読みいただきたいのです!
30年前のネット事情を今知っても、実践的な情報としては無意味です。
しかし、すがやみつる氏が恐らくかなりの高額な通信料を支払って辿り着いた結論は、現在の日本のネットの問題点にも通ずるモノがあったのです!すごいです、この一節だけでも読む価値ありです。
本文187ページより引用
「ボードに書かれている文章を読んでいても、ダイレクトにその文章を読むんでなく、行間を読まなくちゃいけないことがある。おまけに、日本人ってのは、討論とか議論とかの訓練ができていないから、討論、議論の前に、ちょっと理論だてて反論されたりすると、怒っちゃったりすることがよくあるじゃない。
―日本のあちこちのネットで、そういうことが起きてますよね。ただ、僕の場合ですと、つい行間を読みすぎてしまうせいか、勝手に想像をふくらませて、喜怒哀楽をより増幅したかたちで受け止めてしまうってことがよくありますね。だから最近じゃ、日本における「情報」とは「感情を報せるもの」だなんて、開き直ってますけどね。」
引用終わり
もう、30年後もそのまんまだな、と。
日本人のコミュニケーションはウエットなのが良さであり悪さであるのですが、この前後のページ(というか対談の章)では、匿名文化と実名文化の違いみたいなことも論じられております。
また、情報発信の面白さの根幹にあるものをズバリ指摘してたりして、作家ってのはマンガでも文章でも本質を捉えるものだな、と感じたりも致しました。
アメリカのネット文化に果敢に挑んだすがやみつる氏が本能のままに綴った奮闘記が、期せずして質の高い比較文化論になっていることがとても興味深いのであります。
大人の夏休みの課題図書として勝手に推奨!